憎きセカンドレディに鉄槌を!(コミカライズ原作『サレ妻と欲しがり女』)
それは美羽先輩とデキ婚して、悪阻で大変な先輩の世話を甲斐甲斐しくしながら、忙しい日々の業務に疲れた上條課長の姿を見極めた瞬間でもある――。
「上條課長、お疲れ様です!」
疲れた姿を同僚に見られたくなかったのか、部署から離れた空き会議室でひっそりコンビニ弁当に手をつけかけた彼を見つけた。
「長谷川さん?」
ハッとした面持ちで私を見る上條課長は、驚きに満ち溢れていた。
「美羽先輩、体調悪いんですね。結婚してから上條課長のお昼ご飯、ずっとそれですもん」
言いながら指を差したら、申し訳なさそうに頬をぽりぽり掻く。
「あー、それは仕方ない。アイツの具合が悪いのは、俺のせいでもあるんだし……」
苦笑いする上條課長に、持っていたコーヒーショップのあたたかいブレンドコーヒーを目の前に掲げる。
「そんなお疲れの課長に、はいどうぞ♡」
「えっ?」
「美羽先輩にはたくさんお世話になっていたので、間接的にお礼をしたいなぁと思いまして。食後のコーヒーとして飲んでください」
(――かわいらしく見えるように、小首を傾げることを忘れないもん)
あざとさ全開の私とコーヒーの入ったカップを交互に見た上條課長は、困惑の表情を少しだけ露にした。
「上條課長が最近お疲れのご様子だったので、なにかしてあげることがないかなぁと、私なりに考えたんですが、受け取ってもらえませんか?」
私が落ち込む顔を作りこんだ途端に、上條課長は済まなそうな顔でカップを受け取った。
「悪い……。そんなに疲れた感じを出してるとは、思ってもいなくて……」
「だってしょうがないですよ! この時期は業務が忙しいときですし、美羽先輩のお体も大事にしなきゃいけないでしょう? 私にできることがあれば、遠慮なく仰ってください」
「ありがとう。助かるよ」
上條課長は受け取ったコーヒーをテーブルに置き、丁寧に頭を下げる。
(生真面目な彼にどんどん恩を売って、私から逃げられないようにしなきゃね)
「上條課長、さっそくなんですけどぉ、不躾なお願いしてもいいですかぁ?」
「不躾なお願いって、なんか怖いな……」
「私最近ダイエットはじめてて、ぼーっとしてると、晩ごはんやお弁当を以前食べていた量で作っちゃうんです。大目に作ったものを食べてほしくて」
顎を引きながら説明したら、上條課長はキョトンとした表情で私を見上げた。
「それだけなのか?」
「それだけです。お願いできますか? 捨てるのもったいなくて……」
「わかった、遠慮せずに食べることにする」
「それじゃあラインの交換しましょ! たくさん作ったときは連絡するので、コンビニのお弁当を買わなくて済みますよね」
こうして上條課長の連絡先を難なくゲットし、私は彼のために毎日お弁当を作りそして、彼を自宅に招くことに成功した――。
「上條課長、お疲れ様です!」
疲れた姿を同僚に見られたくなかったのか、部署から離れた空き会議室でひっそりコンビニ弁当に手をつけかけた彼を見つけた。
「長谷川さん?」
ハッとした面持ちで私を見る上條課長は、驚きに満ち溢れていた。
「美羽先輩、体調悪いんですね。結婚してから上條課長のお昼ご飯、ずっとそれですもん」
言いながら指を差したら、申し訳なさそうに頬をぽりぽり掻く。
「あー、それは仕方ない。アイツの具合が悪いのは、俺のせいでもあるんだし……」
苦笑いする上條課長に、持っていたコーヒーショップのあたたかいブレンドコーヒーを目の前に掲げる。
「そんなお疲れの課長に、はいどうぞ♡」
「えっ?」
「美羽先輩にはたくさんお世話になっていたので、間接的にお礼をしたいなぁと思いまして。食後のコーヒーとして飲んでください」
(――かわいらしく見えるように、小首を傾げることを忘れないもん)
あざとさ全開の私とコーヒーの入ったカップを交互に見た上條課長は、困惑の表情を少しだけ露にした。
「上條課長が最近お疲れのご様子だったので、なにかしてあげることがないかなぁと、私なりに考えたんですが、受け取ってもらえませんか?」
私が落ち込む顔を作りこんだ途端に、上條課長は済まなそうな顔でカップを受け取った。
「悪い……。そんなに疲れた感じを出してるとは、思ってもいなくて……」
「だってしょうがないですよ! この時期は業務が忙しいときですし、美羽先輩のお体も大事にしなきゃいけないでしょう? 私にできることがあれば、遠慮なく仰ってください」
「ありがとう。助かるよ」
上條課長は受け取ったコーヒーをテーブルに置き、丁寧に頭を下げる。
(生真面目な彼にどんどん恩を売って、私から逃げられないようにしなきゃね)
「上條課長、さっそくなんですけどぉ、不躾なお願いしてもいいですかぁ?」
「不躾なお願いって、なんか怖いな……」
「私最近ダイエットはじめてて、ぼーっとしてると、晩ごはんやお弁当を以前食べていた量で作っちゃうんです。大目に作ったものを食べてほしくて」
顎を引きながら説明したら、上條課長はキョトンとした表情で私を見上げた。
「それだけなのか?」
「それだけです。お願いできますか? 捨てるのもったいなくて……」
「わかった、遠慮せずに食べることにする」
「それじゃあラインの交換しましょ! たくさん作ったときは連絡するので、コンビニのお弁当を買わなくて済みますよね」
こうして上條課長の連絡先を難なくゲットし、私は彼のために毎日お弁当を作りそして、彼を自宅に招くことに成功した――。