春色の恋−カナコ−[完]
食後の片付けを一緒にした後、ソファに並んで座りコーヒーを飲んで。

ゆっくりと話をしながら過ごす時間も、幸せいっぱいだった。

「次は、ご両親だな」

自宅まで車で送ってくれた河合さんが、家の前で私の手を握りながらそう言ってくれて。

「ご両親に挨拶が終わったら、俺の親にも会ってくれる?」

「もちろん!よろしくお願いします」

そっと引きよせられた体は、何のためらいもなく河合さんの腕の中におさまって。

そっと顔をあげると、やさしいキスが降ってきた。

「おやすみ。いい夢を見るんだよ」

「はい。ありがとうございました」

くっくり発進する車を玄関の前で見送ってから家の中に入ると、おにいちゃんが電話をしているところだった。

「ただいま…」

声をひそめてリビングへ入ると、どうやら電話の相手はお母さんのようで。

「今帰ってきたから変わるよ」
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