春色の恋−カナコ−[完]
あわてて受話器を受け取ると、一週間ぶりに聞くお母さんの声。
『カナコ、コウヘイから聞いたわよ』
興奮気味のお母さんが、河合さんのことを細かく質問してきて。
受話器の向こうから、遠くで呆れた声を出しているお父さんのため息が聞こえた。
「うん。すごく素敵な人。帰国したら紹介するね!」
その後、お父さんと少し話をしてから電話を切ると12時を回っていた。
「よかったな、カナコ」
二人並んでソファに座ると、おにいちゃんが私の頭を撫でながらきゅっと自分の方へ引き寄せた。
おにいちゃんの肩に頭を載せるようにして目を閉じると、小さなころに戻ったような温かい気持ちになれて。
「うん。おにいちゃん、ありがとう。素敵な人に会わせてくれて」
いつか、私はお嫁に行くけど、おにいちゃんの妹でよかったってすごく思う。
いつも私のことを考えて、やさしいだけじゃなくて間違っていることもきちんと教えてくれた。
男の子に関しては、ちょっと厳しかったけど。
でも、こうして河合さんという素敵な人と巡り合わせてくれたし、きっとお父さんもお母さんも気に入ってくれる。
「さ、もう遅くなったし、明日から仕事だよ」
『カナコ、コウヘイから聞いたわよ』
興奮気味のお母さんが、河合さんのことを細かく質問してきて。
受話器の向こうから、遠くで呆れた声を出しているお父さんのため息が聞こえた。
「うん。すごく素敵な人。帰国したら紹介するね!」
その後、お父さんと少し話をしてから電話を切ると12時を回っていた。
「よかったな、カナコ」
二人並んでソファに座ると、おにいちゃんが私の頭を撫でながらきゅっと自分の方へ引き寄せた。
おにいちゃんの肩に頭を載せるようにして目を閉じると、小さなころに戻ったような温かい気持ちになれて。
「うん。おにいちゃん、ありがとう。素敵な人に会わせてくれて」
いつか、私はお嫁に行くけど、おにいちゃんの妹でよかったってすごく思う。
いつも私のことを考えて、やさしいだけじゃなくて間違っていることもきちんと教えてくれた。
男の子に関しては、ちょっと厳しかったけど。
でも、こうして河合さんという素敵な人と巡り合わせてくれたし、きっとお父さんもお母さんも気に入ってくれる。
「さ、もう遅くなったし、明日から仕事だよ」