春色の恋−カナコ−[完]
「え?上手じゃないですよー」

おにいちゃんは私のことをカオリさんによく話しているようで。

高校生になったときから始めた料理だけど、必要に迫られて覚え始めたようなものだから。

とても上手ではないと思うんだけど。

それも、自分でお店をしているカオリさんから見たら、恥ずかしいくらいのレベルだし。

「そういえば、今日はお店だいじょうぶなんですか?」

日曜日休みだと聞いていたけど。

「ああ、今日はまかせてきたから」

一緒にお店を立ち上げた友人がいるそうで、毎日ではないけど手伝ってくれているらしい。

急用ができた時などに任せることができるほど信頼できる友人。

そんな人がいるのもすごいなぁ。

一通り皆が食べ終わったところで、作業の続きをすることになった。

二階のおにいちゃんの部屋にある両親の荷物を、一旦リビングへ降ろす作業を始めた。

大小荷物があるけど、それほど沢山あるわけでもなくて。

大人が4人いると意外と早く作業は進んで、荷物がなくなった部屋の掃除まで済ませてもまだ14時半だった。

「一息入れようか」
< 137 / 241 >

この作品をシェア

pagetop