春色の恋−カナコ−[完]
後は1階の寝室から2階へおにいちゃんの荷物を運びこみ、1階におろした両親の荷物を寝室へ入れるだけ。

荷物さえ運び込むことができたら、荷ほどきは自分でもできるからなんておにいちゃんは言うけど。

沢山の本を一人で並べたりするのも大変だと思うんだけどなぁ。

河合さんが持ってきてくれたケーキをお皿に出しリビングへ行くと、おにいちゃんが入れてくれたコーヒーを持ってきてくれた。

「家の中だけなのに、さすがに疲れるわね」

引っ越しなんて大げさかもと思っていたけど。

でも、何年も使っていた部屋を交換するのはそれなりの重労働で。

朝から作業をしていた私は、甘いケーキにかなり癒されていた。

「カオリ、時間大丈夫?」

「あ、もう少しかな?ごめんね、16時にはお店へ戻らないとだめなの」

コーヒーを飲み終わり、荷物を二階へあげる作業をしている途中でタイムリミットが来てしまい、カオリさんがお店へ帰る時間になってしまった。

「あの、今日はありがとうございました。お昼もとてもおいしかったです」

「今度はお店へも遊びに来てね。楽しみにしています」

おにいちゃんが送っていくのかと思ったけど、車で来ていたカオリさんはそのまま運転して帰ってしまった。
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