春色の恋−カナコ−[完]
いつも一番はおにいちゃんで、ずっとおにいちゃんを信じて生きてきたけど。

これからは、今私と一緒にいてくれる河合さんを信じて生きていきたい。

「俺は、愛してる」

そっとほどかれた両手を河合さんに握られて、唇が触れそうな距離で何度も「愛してる」とささやいてくれた。



沢山のキスと、沢山の愛を全身で感じて、いつの間にか眠ってしまって。

ふと目がさめ、カーテンの隙間から光が差し込んでいるのに気がついた。

同じベッドの中で、河合さんに抱きしめられるようにして眠っていた私。

ふと今の時間が気になったけど、もう少しこのままでいたいと思い温かい腕の中で再び目を閉じた。



「…ん、カナコちゃん」

きゅっと鼻をつままれて目が覚めた。

「あ、おはようございます…」

すっかり明るくなった外は、いつの間に開けられたのかレースのカーテンだけになっていた窓からすぐにわかって。

そっか、あのまままた眠ってしまったんだ。

部屋着に着替えて私を起こしに来てくれた河合さんは、布団ごと私をぎゅっと抱きしめてくれた。
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