春色の恋−カナコ−[完]
横には大好きな河合さんがいて、はっきりと自分の意思を伝えてくれる。

本当はとっても恥ずかしいことだと思うけど、それでもちゃんと言ってくれるから、私もしっかりと伝えたい。

大好き、って。


毎週日曜日の夜には、アメリカからの電話連絡がある。

今日もいつものように電話がかかってくるはずで、河合さんとカオリさんはその前に帰って行った。

この電話も、あと何回かな?

待ち遠しくて、電話の前でスタンバイしていたらソファで新聞を読んでいるおにいちゃんに笑われてしまった。

だって、早く聞きたいじゃない?

いつ帰ってくるのかとか、色々と。

いつもと同じ時間に電話が鳴って、あわてて受話器を取るとお母さんで。

『カナコ、元気にしてた?』

やさしい声を、もうすぐ受話器越しじゃなくて直接聞けるんだと思うと、嬉しくてテンションも上がってしまう。

いつものように一週間の報告をして、昨日一日で部屋の準備ができたことを伝えた。

『まあ、河合さんもお手伝いしてくれたの?申し訳ないわねぇ』
< 148 / 241 >

この作品をシェア

pagetop