春色の恋−カナコ−[完]
再来週の金曜日に日本に着く便で帰国するという両親。

大きな荷物だけ先に来週末に到着する予定とのこと。

あと2週間で会えるんだ。

年に数回しか会えない生活が長かったけど、やっと家族4人そろっての生活がまた始まる。

そう思うとすっごく嬉しくて、なんだか落ち着かない。

「帰国したら、河合さんに会ってね」

『もちろん。楽しみにしているわね。お父さんは困った顔しているわよ』

電話の向こうで顔は見えないけど、きっとお父さんは複雑なんだろうな。

電話をおにいちゃんに変わり、しばらく話をしてから切った。

「しばらくばたばたしそうだな」

「うん。でも、うれしいね」

日本に残ることを決めたのは私で、おにいちゃんの協力のもと生活してきたけど。

二人の生活は、もうすぐ終わりなんだ。

「おにいちゃん」

ソファにいるおにいちゃんの隣に座り、ぎゅっと腕に抱きついてみる。

「どうした?」

いい年して、こんな風に自分のおにいちゃんに甘えるのはおかしいかな?

おにいちゃんも嫌がらずに私に付き合ってくれて、嬉しい。

「ありがとうね、おにいちゃん」
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