春色の恋−カナコ−[完]
それからしばらく水泳の話をしながらお弁当を食べ終わり、食後のコーヒーを飲んでいると食事を終えた人が戻ってきたりして部屋の中が賑やかになってきた。

しばらくして外で食事をとっていたらしい社長も戻ってきて、私たちが座っている応接スペースの藤井さんの隣に座ったので、あわててコーヒーを入れに行こうとしたら藤井さんに止められてしまった。

「ほら、言ったでしょう?自分のことは自分でやらせなきゃ」

って藤井さん、相手は社長だし!

びっくりしてどうしたらいいのかおろおろしている私を見て、社長が声をあげて笑っている。

「浅野さん、ありがとう。実は私はコーヒーが苦手なので、食後はお茶を飲んできました」

「そ、そうですか、すみません」

ソファに座りなおし、このままここにいていいのかそれとも席を外した方がいいのか。

どうしようかともじもじしていたら、今度は藤井さんに笑われてしまった。

「そんなに緊張しなくても大丈夫よ。社長って言っても、そんなに堅物じゃないから」

先ほどからの藤井さんの発言に目を白黒させてしまう。

社長と藤井さんはどういう関係なの!?
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