春色の恋−カナコ−[完]
社会人になって、すごく大変だったと思うのに、私の世話までしてくれて。

もっと自由に遊びたかったと思うけど、私がいたからできなかったことってたくさんあったんじゃないかな。

おにいちゃんはやさしいからそんな事口にはしないし、文句も聞いたことないけど。

「ん?なにがありがとう?」

私の頭に自分の頭を乗せるようにして、くすくす笑うおにいちゃん。

テーブルの上にあったリモコンでテレビをつけると、ニュースキャスターが難しい顔をしてニュースを読み上げているところで。

「さあ、カナコ。先にお風呂入っておいで」

私の頭をポンポン、としてからお風呂へと送り出してくれた。

「はーい」

お風呂からあがったら、河合さんに電話しなきゃね。

今日のお礼と、お母さんが会うの楽しみにしているって言っていたことも伝えないと。

着替えを持ってバスルームに行き、熱いシャワーをたっぷり浴びた。


寝る前に河合さんに電話したら、私と同じで寝るところだったらしくて。

来週は先週忙しかった分早くに帰れそうだから、時間が合ったら待ち合わせをしようと言ってくれた。

嬉しい!

まるで遠足前の子供みたいに、なんだか興奮して寝付けなくて。

少しだけ寝不足のまま月曜日を迎えた。
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