春色の恋−カナコ−[完]
翌日は、予告通りに迎えに来てくれた河合さん。

おにいちゃんも一緒に河合さんの車で会社まで送ってくれた。

「ありがとうございます」

「帰りも迎えに来るから。終わったら連絡してね?」

「…はい」

なんか…そこまで?って思うけど、河合さんもおにいちゃんもすごく心配してくれていて。

会社へ着くまでの車の中で、しばらく一人で出歩くのを控えることになってしまった。

今までだって、何もなかったんだし大丈夫だよって言っても、二人とも聞いてくれないし。

昨日のことで、佐藤さんが私の顔を覚えてしまっただろうからって。

佐藤さんの住んでいる所からは少し離れているけど、電車や車で移動できる距離。

昨日は仕事で本社へ出てきていたけど、今日も午前は本社へ出社する予定になっているらしい。

「はぁ」

会社へ来てしまえばいつも通りの毎日。

でも、なんだか集中できなくて気がつけばため息が出てしまう。

「悩み事?」

「いえ、ちょっと疲れが取れなくて」

正直、昨夜はあまりよく眠れなかった。

朝も気持ち良く起きることができなくて、いつも走っているのをお休みしたし。

早く、何らかの解決になるといいんだけど。
< 159 / 241 >

この作品をシェア

pagetop