春色の恋−カナコ−[完]

「アヤコさんは俺の義理の妹にあたるんですよ」

二人の顔を見比べていた私に気がついたのか、社長がネクタイをゆるめながら説明してくれた。

「社長の奥さんが私の姉なんです。ついでに言うと、幼馴染なんだけどね」

小さいころからのお友達なんだという。

そんな二人のやり取りは、とても仲がいいことを誰が見てもわかるようで。

社長がこの会社を立ち上げる前から一緒に仕事をしてきたのが藤井さんで。

仕事のできる人たちってすごいなぁなんて感心してしまう。

「さあ、もうすぐお昼休みも終わりですよー」

藤井さんが立ちあがり、フロア全体に聞こえるくらいの大きな声で全体を見渡しながら言うと、あちこちで伸びをしたり片付けをしたり。

人の動きが徐々に活発になっていく。

オフィスってすごい。ここにいる人たちはちゃんとメリハリ付けてお仕事しているんだ。