春色の恋−カナコ−[完]
当たり前のことなのかもしれないけど、今まで仕事と言えばアルバイトしかしたことのなかった私にとってはとても新鮮なことで。

藤井さんの言葉に社長も立ちあがり自分の席へ移動し始めて。

私もあわててコーヒーカップを手に持ち、片付けるために給湯室へ行く。

給湯室は同じフロア内にある、扉のない奥まったスペースになっていて。

なかに誰かいても、入口付近に車で気がつかないような、ちょっとした空間になっていた。


「…でさー、毎朝一緒になるんだよね、その子と」

「へ~」

給湯室へ行くと、確か…営業の人2人が何やら話しこんでいて。

「失礼しますー」

一応入る前に声をかけて中に入り、カップをささっと洗って片付けた。

「あ、新人のカナコちゃん」

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