春色の恋−カナコ−[完]
ここへ来る道中、河合さんに来週の予定を聞かれて。

週末は特に予定がないことを伝えると、そのままご実家へ電話をかけて帰ることを告げた。

昨日もそうだったけど、ここぞって時の服を持っていない私。

ご挨拶へ伺うのに、リクルートスーツはあり得ないし。

「来週着ていく服が欲しくて。あの…どんなのが好きですかねぇ?」

「はは。いつも通りで大丈夫なのに」

昨日、スーツでびしっと決めて来た河合さん。

自分の実家へ帰るときはさすがにスーツは着ないよと笑って言うけど、私はそうもいかないでしょう?

やっぱ、女の子らしく清楚な感じのワンピースとか?

あれこれ考えても思い浮かばないので、一緒に選んでほしいというと、お昼を食べてからお店へ連れて行ってくれることになった。

冷蔵庫にあった残りもので簡単にパスタを作り、お腹が膨れたところで郊外にある大型ショッピングモールへ。

お気に入りのショップがあるのでそこであれこれ見ていると、河合さんが一枚のワンピースを選んでくれた。

すごく素敵なワンピースで、お値段もそれなりにするものだったけど。

試着したら河合さんが顔を赤くしながら似合うよと言ってくれたので、そのままお買い上げ。

手持ちの靴とも合いそうだし、羽織るものを帰ればどんな時でも着られそう。

レジへ行くと、横から河合さんがお金を払ってしまい、何度言っても私からお金を受け取らないのでプレゼントとしてありがたく頂くことにした。
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