春色の恋−カナコ−[完]
初めて可愛いと思ったおにいちゃんは、驚きのあまり何も言えなくなってしまった私を見て、小さくため息をついた。

「カオリと、結婚をしようと思ってる」

「うそ…」

真剣な目で私を見て、そんな事をいうおにいちゃんに、私はおめでとう!と言いながら抱きついた。

昨夜、お母さんが話していたのはこのことだったのかな?

「すごい、おにいちゃんおめでとう!」

「いや、それがさ…」

「え?」

なんだかはっきりしないおにいちゃんの言葉に顔をあげると、困った顔をしたおにいちゃんが私を見降ろしていて。

身体を話すと、頭をぽりぽりと掻きながら私を見て笑った。

「できたんだ」

「え?出来たって…え?」

一瞬、何のことかわからなくて。

でも、おにいちゃんの顔を見て、すぐに分かった。

「おにいちゃんが、パパになるの!?」

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