春色の恋−カナコ−[完]
話はトントンと決まっていき、河合さんと留守番していた私の心配をよそに夏休みを利用して式を挙げることに決まった。

「ここなんてどうですか?」

日曜日。

家へ遊びに来ていたカオリさんと、情報誌を見ながら式場を探していて。

とにかく時間がないので選択肢も限られているから片っ端から電話をして空き状況を確認したりした。

「素敵だねー。でもさぁ、私やっぱり…」

チャペルとか、すごく素敵だけど。

カオリさんはレストランなどでアットホームに式を挙げたいと考えているようで。

おにいちゃんもそれには賛成しているのか、インターネットであれこれ調べているらしい。

「なあ。カオリの店って何人なら入れる?」

「えー、狭いからねぇ。立食にしても30人くらいが限界かなぁ」

「だよなぁ…」

小さなお店だからこそ、一人で切り盛り出来ているわけで。

カオリさんの自分のお店では式を挙げるのは無理っぽい。

身内だけの式も考えたけど、やはり色んな問題で招待しなければならない人とか居るようで。

親戚やお友達はもちろん、会社の人とか、取引先の人とか。
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