春色の恋−カナコ−[完]
あれこれ考えて、あっという間に時間は過ぎていく中。

カオリさんの取引先の人が紹介してくれた小さなレストラン。

少し郊外にあるけど駐車場もあり、結婚式にも利用されることがあるらしい。

そんなレストランを見学がてら行ってみると、すごくかわいくて。

カオリさんとおにいちゃん、私と河合さんの4人でごはんを食べながらお店の人に話を聞いていると、希望している日程がなんとあいているらしくて。
「決める!決める!」

もうここに決定!と嬉しそうに笑っているカオリさんをみて、おにいちゃんも幸せそうで。

すぐに電話でご両親に確認すると、OKをもらえたらしかった。

そのまま予約をして手続きなどをしている間、私と河合さんはお店の中にディスプレイされている雑貨を見て回った。

小さなアンティーク調のものから、かわいらしい動物の置物とか。

一つ一つを見るとなんだか不思議だけど、お店全体としてみるとどれも素敵で。

「素敵ですねぇ」

窓際に置かれた小さなガラス製の置物を除きこむように見ていると、ぽんっと私の頭に手を乗せた河合さんがあいている手でその置物を取った。

「新居に、こういうのを置いたらいいね」

新居。

今はおにいちゃんたちの結婚式の準備でいっぱいいっぱいだけど。

いつか、私と河合さんもこうして準備で忙しくなる日が来るんだよね?

「楽しみですね」

にっこり笑う河合さんを見て、私も自然と笑顔になれた。
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