春色の恋−カナコ−[完]
出来るだけ手作りでやりたいというカオリさんの希望で、招待状とかあれこれ作ることになったおにいちゃんたちの結婚式。

私もできる限りお手伝いをして、忙しくて大変だけど幸せを分けてもらっていた。

「カナコちゃん、ありがとう!すごく助かったわ」

結婚式の準備ってこんなに大変なんだ…。

招待する人、座る席順、お料理も出し、引き出物も。

考えなければならないことがたくさんで、私が手伝えることってごく一部だけど。

でも、いつかやってくる自分の式でかならず生かせると思うと、苦痛ではなかった。

大好きな、おにいちゃんの結婚式だし。

「それで、同居の件だけど」

日曜日。準備も兼ねて家で作業をしていた。

一通り終わったところで、お茶を入れて来たお母さんにおにいちゃんが話しかけて。

結婚を決めた当初から出ていた、同居の話。

お父さんとお母さんは、若いんだから家を出て夫婦だけの生活を楽しみなさいって言ってたけど。

きっと、そこにはまだしばらく出ていく予定のない私のことも含まれているのかな。

でも、おにいちゃんは家を出る気がないと言う。

「もう、コウヘイは頑固ねぇ」

この話になると、お母さんはため息ばかり。
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