春色の恋−カナコ−[完]
外へ行くと、すでに何人かお客さんが集まっていて。

「カナコちゃん!」

「ハナちゃん!」

親友のハナちゃんも、私と同じように振袖を着て出席してくれていた。

私と姉妹のように育ったハナちゃんは、当然おにいちゃんのことも兄のように慕ってくれていて。

…それ以上に思っていた時期があるのを、実は知っているけど。

「もう、コウヘイ君の結婚式なんて信じらんないんだけど!」

冗談なのか、本気なのか。

笑いながらそんな事を言うハナちゃんだけど、最近彼氏ができたらしい。

「本当はハナちゃんがコウヘイの隣にいる予定だった?」

「やだ、コウスケさん!それはないですって!」

少しだけ頬を赤くしたハナちゃんだけど、今はおにいちゃんのことは何とも思っていないのかな。

私は、少しだけ切ないよ。

「ブーケトス、やるかなぁ?私欲しいんだけどな」

「やるって言ってたよ」

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