春色の恋−カナコ−[完]
握られていた河合さんの手に、思わず力を込めてしまう。

どうしよう、感動して泣きそう。

すごく素敵な二人は、すごくお似合いで。

「おにいちゃん…」

大好きなおにいちゃんが、結婚。

いつも優しく私の頭をなでてくれた手で、一番大切な人の手を握って行くんだね。

「おめでと」

皆に祝福されながら正面まで来た二人は、深いお辞儀をした。

どちらからともなく見つめあう姿は、とにかく素敵で。

きれいな青空の下、すべてのものが二人を祝福しているように見えた。

司会の人の進行も素敵で、皆の前で誓いの言葉を言ってから証明書にサインをして。

「おめでとう!」

大勢の人に祝福されて、二人は夫婦になった。

途中から涙が止まらなかった私は、河合さんにしがみつくようにして立っているのがやっとで。

白いハンカチで河合さんが涙を抑えてくれるけど、止まらない。
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