春色の恋−カナコ−[完]
まだ目の周りは少し赤いけど、皆の前であれだけ泣いたんだからと開き直って。

化粧だけは何とか直し、河合さんと共に薄暗くなったレストランの中に戻る。

「遅かったわねぇ」

呆れたように笑うお母さんに小さく謝って席に着く。

今日は私の婚約者として出席している河合さんは、当然私の隣に席が合って。

「ほら、入場よ」

二人の思い出の曲だという、外国の曲が流れだすと入口の扉が開いて主役の二人が入場した。

沢山の拍手の中で、少しだけ照れくさそうな二人が順番に席に居るお客さんに挨拶をしながら前まで来て。

深く頭を下げると、司会者に促されて席に着いた。

そこから披露宴はすごく盛り上がって。

昔何度か会ったことのあるおにいちゃんの大学の友人たちの余興がすごく楽しかったり。

カオリさんのお友達が作ったという、すごく素敵なウエディングケーキに感激したり。

仲のいい二人が本当に素敵な笑顔で、心からおめでとうって言える気がした。
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