春色の恋−カナコ−[完]
どうしてお母さんが急にそんな質問をしてきたのかわからないけど。

きっと今の我が家には色んな幸せが溢れていて。

おにいちゃんたちの幸せもそうだし、私の幸せもそう。

こうして家族がそろって笑える毎日も、すごく幸せなんだ。

「じゃあ、お休みなさい」

にっこり笑ってからコップを洗うと、何事もなかったかのようにお母さんは寝室へと戻ってしまった。

河合さん、まだ起きているかな。

なんだか急に声が聞きたくなって、部屋へ戻ってから電話をかける。

お風呂上がりで寝る準備をしていたという河合さんと少しだけ話をして。

『お休み。いい夢を』

「おやすみなさい」

電話越しに聞こえるやさしい声で、今夜もゆっくり眠ることが出来た。


仕事の忙しさも落ち着いていて、仕事帰りのデートも週に何度か。

帰宅すると、日々お腹が大きくなっていくカオリさんとお母さんがごはんを作っていたりして。

予定日が近くなり、お店をいつも任せている友人にお願いしてカオリさんは産休に入った。
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