春色の恋−カナコ−[完]
ぎりぎりまで働くと言うカオリさんだったけど、お店をランチだけに限定してなんとかお休みだけはせずに平日のみ営業するという条件でお友達が引き継いでくれたので、納得してくれた。

家の中も、もうすぐやってくる赤ちゃんのものが増えてきて、なんだかドキドキ。

それと同時に、私も自分のことに追われるようになっていた。

「カナコ、これなんだけど」

「えー?」

カタログを片手に、何やら悩んでいるお母さんに言われ、手を止めて指しているページを見る。

「うちの親戚にはこれを入れてほしいの」

「うん、わかった。メモしておいて?」

そう、私の結婚の日程が、決まった。

河合さんのご両親に挨拶へ行ったのは、数ヶ月前。

すごく素敵なご両親で、私のことも娘のように暖かく受け入れてくれた。

結婚もすんなり許してもらい、早く孫が見たいというお義父さんが式も早くあげるといいなんて言い出して。

孫はまだ少し先になりそうだけど、そのままとんとん拍子で日程が決まった。

結婚ってこんなに早くできるもの?って不安になるくらいだったけど、おにいちゃんの時もあっという間だったのもあって、今のところ順調。

「コウスケさんのほうは、もう決まっているからこれで全部OKだよ」

引き出物とか、細かいものの最終確認をしている今。

この作業が終われば、ちょっと楽になるかも。

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