春色の恋−カナコ−[完]
「はい、これで大丈夫です。手配しておきますね」

にっこり笑う担当者は若いけど、細かいことに気がついてくれてとても気に入っている。

若いと言っても私よりは年上の女性なんだけど。

手続きをしている間、少し離れたところで外の景色を見ているおにいちゃんをみて、担当者が少しだけ頬を赤らめていた。

「おにいさん、素敵ですね」

「ええ、自慢の兄なんです」

ふふっと笑うと、担当者も同じように笑ってくれて。

「式が楽しみですね」

「よろしくお願いします!」

次の打ち合わせを予約してから式場を出る。

「たまにはお茶でもしていく?」

「え?」

車に乗り込んでから、エンジンをかけながらそんな事をいうおにいちゃん。

お茶って…。

「俺とデートじゃ、コウスケに怒られるかなぁ」

「えー、コウスケさんはそんなことじゃ怒らないよ!」

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