春色の恋−カナコ−[完]
「ありがとう」
「お父さん、お母さん。今までありがとう」
「お母さんも、カナコにありがとうを言いたいわ。まっすぐに育ってくれてありがとう」
結婚式当日。
家を出る前に、リビングにそろっている両親にお礼の言葉を告げた。
私がありがとうって言い終わるくらいに、お母さんがぎゅっと抱きしめてくれた。
大人になっても、お母さんに抱きしめられるのはこんなにうれしいんだって初めて気がついた。
「さあ、遅れるぞ」
すでに涙目になっているお父さんが私のほうを見ないでソファから立ち上がって。
昨夜、あまり眠れなかったのよってお母さんがこそっと教えてくれた。
「お父さん!」
慌ててお父さんの前に立ち、ジャケットを掴んでいないほうの手を握り締めた。
「私、幸せになります」
まっすぐに見つめたお父さんの瞳からは、今にも涙がこぼれそうで。
「ああ、河合君なら大丈夫だ」
ぎゅっと握り返してくれた大きな手。
これからは、お父さんじゃなくて河合さんと手をつないで前に進んでいくね。
「お母さんも、カナコにありがとうを言いたいわ。まっすぐに育ってくれてありがとう」
結婚式当日。
家を出る前に、リビングにそろっている両親にお礼の言葉を告げた。
私がありがとうって言い終わるくらいに、お母さんがぎゅっと抱きしめてくれた。
大人になっても、お母さんに抱きしめられるのはこんなにうれしいんだって初めて気がついた。
「さあ、遅れるぞ」
すでに涙目になっているお父さんが私のほうを見ないでソファから立ち上がって。
昨夜、あまり眠れなかったのよってお母さんがこそっと教えてくれた。
「お父さん!」
慌ててお父さんの前に立ち、ジャケットを掴んでいないほうの手を握り締めた。
「私、幸せになります」
まっすぐに見つめたお父さんの瞳からは、今にも涙がこぼれそうで。
「ああ、河合君なら大丈夫だ」
ぎゅっと握り返してくれた大きな手。
これからは、お父さんじゃなくて河合さんと手をつないで前に進んでいくね。