春色の恋−カナコ−[完]
思わず口から出た気持ちに、顔が赤くなってしまう。

「カナコちゃんも綺麗だよ」

ほかに人が居るのに、普通にそんな事を言われてますます赤くなってしまう。

そんな私たちを見て、担当者たちがくすくす笑っているけど河合さんはお構いなしで。

そっと私の手を取ると、手の甲にキスをしてくれた。

「さあ、お姫様。向かいましょうか?」

そのままエスコートされて外へ出ると、ハナちゃんや沢山の友達が居て。

「カナコちゃん!綺麗~!」

抱きつく勢いで飛んできたハナちゃんに、見ただけで涙が溢れそうになる。

「ハナちゃん!」

「すっごい綺麗だよ!」

今日は披露宴でハナちゃんにスピーチをお願いしていて。

生まれたときから一緒に居るハナちゃん。

私の大親友だから。

「ハナちゃんも可愛いよ」

始まる前から涙を流しているハナちゃんに釣られそうになるけど、メイクさんに言われて涙はまだぐっと我慢。

そんな私たちの横で、やさしい目をして見つめてくれている河合さん。

遠くには赤ちゃんを抱いたおにいちゃんとカオリさん。

皆に見守られて、私は幸せの第一歩を踏み出すんだ。
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