春色の恋−カナコ−[完]
いわゆる事務職は初めてのことで、なんだか一人であたふたと空回りしてしまいそうな予感。

そんな感じで説明を受けていたら、始業時間を過ぎていたらしくて。

気がつけば周りに人が徐々に集まってきていて、皆さん興味しんしんと言った感じで遠巻きに私の方を見ていた。

うわー、なんだか注目浴びちゃっているよね?

最初に事務所に足を踏み入れた時よりも人数も増えていて、ほとんどの人がそろっている様子で。

「じゃあ、朝礼始めましょうか」

きっとこれがいつもの始まりなんだと思いつつ、岡本さんの言葉で皆が彼に注目した。

私もどうしたらいいのかわからず、皆さん同様立って岡本さんの方を見る。

「おはようございます。今日から新年度が始まりました」

よく見ると細みのスーツをぴしっと着こなし、長身によく似合っていて。


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