春色の恋−カナコ−[完]
これって、プロポーズだよね?

初めて出た結婚という言葉に、うまく処理できない私の頭の中は真っ白。

チュッと音をたてて私の額にキスをしてくれた河合さんは、こぼれた涙をそっとぬぐってくれて。

「本当は、もっとロマンチックなプロポーズを考えていたんだけど」

今日、おにいちゃんと河合さんの会話を聞いた後、私がずっと不安そうな顔をしていたから。

だから、私を安心させるために、ちゃんと言葉にしてくれたんだという河合さん。

照れくさそうに笑う河合さんを見て、少しずつ現実味を帯びてきた私も、急に恥ずかしくなってきてしまった。

どうしよう、何か言わなきゃ。

「私も、河合さんが好きです」

「好き?」

少しだけ首をかしげて聞き返されてしまう。

私は自分の顔が真っ赤なのを感じながら、今まで口にしたことのない言葉を、勇気を振り絞って言葉にした。

「あ、愛してます」

「結婚してくれる?」

私の言葉をきいて再び言われたその言葉に、私は大きくうなずいてから河合さんに抱きついた。
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