春色の恋−カナコ−[完]
抱きしめられたままそう言われ、以前からかわれたようにまた一緒に入るとか言うのかと思ったのに。

「続きは、そのあとにね」

そっと私の身体を話すと、おでこに優しくキスをしてくれた。

続きって…続き!?

キスの余韻なんてどこかへ飛んでしまって、耳まで熱くなっているのがわかる。

すごく、顔が熱いよ…。

「はは。ゆでたこだな」

くしゃくしゃっと頭をされ、河合さんに支えられてソファから立ち上がらされた。

恥ずかしいけど、このままお風呂へ行くこともできずにおどおどしていると、くすくす笑う河合さんが私の手を握ってお風呂場まで連れて行ってくれて。

「一緒に入りたい?」

「え、む、無理です!」

真剣な顔でそう聞かれたけど、即答してしまった…。

でもでも、やっぱ一緒になんて無理だし!

「ゆっくり温まってくるといいよ」

そのまま一人、お風呂場に残された私は、ゆっくりと湯船につかりながらさっきの深いキスを思い出してのぼせそうになってしまった。

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