春色の恋−カナコ−[完]
我慢できずに思わず聞いてしまったけど、これって私から誘っているようなもの?

だとしたら、すごく恥ずかしい…!

やっぱり、寝た振りでもしておけばよかった。

あまりの恥ずかしさに、河合さんから視線を逸らせて布団にもぐりこむようにした。

「…カナコちゃん」

そんな私の頭を布団をめくって表に出すと、あっという間に私の脇の下に両手を差し込んでぐっと河合さんの顔の前まで持ち上げられて。

「え、あ、あの…」

お互い、横を向いたままの状態でお互いのおでこを突き合わせるような形で。

恥ずかしすぎて、顔を見ることのできない私はずっと河合さんの胸元を見ていた。

「俺は、カナコちゃんがとても大切だと思っているから」

そっと伸びてきた大きな手で、私の頬が包まれる。

その手は暖かくて、気持ち良くて…。

「無理に、先へ進もうとは思っていないよ。いつか、その時が来たら…」

ばっと布団がはだけたと思ったら、いつの間にか上を向かされていて。

さらには、私の目の前に河合さんの顔が…。

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