春色の恋−カナコ−[完]
私に覆いかぶさるようにして、河合さんがやさしく微笑んでいた。

「カナコちゃんと、ひとつになりたいと思っているよ」

そう言うと、ゆっくりと河合さんの顔が近付いてきて。

二人の唇がやさしく重なった。

すぐに離れた唇がもっと欲しいなんて思ってしまう私は、重症なんだろうか。

閉じていた目をそっと開けると、まだ私の上で微笑んでいる河合さんがいて。

「私…」

今日、河合さんと一つになるんだと思ってきたのに。

でも、そんなこと恥ずかしくて言えないし。

「うん、わかってる。でも、今日はここまで」

再び河合さんの顔が近付いてきたかと思ったら、おでこにチュッとされて、そのあとぎゅっと力いっぱい抱きしめられた。

「く、くるしぃ」

こんなに力いっぱい抱きしめられたのは初めてで。

息ができないくらい苦しくて、思わず声が出てしまった。

すぐに話された腕は、そのまま私の上から河合さんが移動したことを意味していて。

横を見ると、仰向けになっている河合さんが目を閉じていた。

「河合さん?」

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