春色の恋−カナコ−[完]
目の前に右腕をのせ、じっとしている河合さん。

どうしたんだろう?

急に静かになった河合さんにドキドキが止まらない。

「明日、ドライブしてからコウヘイに挨拶へ行こうね」

目元を隠したまま、そういった河合さんは、何もなかったかのように私の方に向き直ってそっと頬を撫でてくれる。

「おやすみ」

そっと私の頭を抱き寄せると、さっきと同じように脇の下に抱えるようにしてから首まですっぽり布団をかけられ、頭に一つキスをくれた。

「おやすみなさい」

なんだかわからないこともあるけど、河合さんは私のことを大切に思ってくれているんだということだけは何となくわかった。

これから、時間はたっぷりあるんだから焦っちゃダメなんだね。

ゆっくり、二人の時間をたくさん作れたらいいな。

温かい河合さんの横で、いつの間にか深い眠りに就くことができた。
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