春色の恋−カナコ−[完]
「んー!いい天気!」

青空が広がった、とてもいい天気で。

ふと時計を見ると、いつも起きる時間ぴったり。

自分の体内時計が正確なのに驚きつつも、おにいちゃん今頃一人で走っているのかな・・・なんて。

大好きな河合さんの部屋にいても、そんなことを考えてしまう私は、やはりブラコンなんだろうか。

「あ、起きた?コーヒー入れてるから、顔洗っておいで」

部屋へ戻ってきた河合さんが、窓際にいる私に後ろから抱きついてきて。

「おはようございます」

さっき言えなかった朝の挨拶をすると、頬にキスをされた。

河合さん、キス魔だよねぇ。

でも、そのキスがうれしくてくるっと向きを変えて正面から河合さんに抱きついた。

「…好き」

思わず、気持が口から出てしまったけど。

「俺も」

ちゃんと答えてくれる河合さんが、やっぱり好き。

ベッドメイキングを済ませてから顔を洗いに行き、ふと鏡に映った自分を見て思わず声をあげてしまった。

「うわー、ひどい寝ぐせ!」

こんな頭で河合さんに抱きついていたの?

あまりにも恥ずかしくて、持ってきていたシュシュで髪をかきあげ一つにまとめた。

後でシャワーを借りなきゃ…。

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