ショートケーキと羊羹の空想論
飼い主なのか、猫は女性店員にオヤツをもらっていた。私は目を皿のようにしながら、黙ってその様子を眺めていた。
猫と変身後の人間が別々にいて何がなんだか分からなくなる。
「せっかくだから珈琲でも飲んでいきません?」
真柴くんのスマートな誘い方に、無意識に「うん」と頷いていた。
「先輩の進路、何となく分かりましたよ」
ソファー席に座り、ウェイターさんにお水とおしぼりを運ばれてから真柴くんがズバリと言い当てた。
「創作系ですよね? 漫画家とか小説家とか……エンタメ系の専門学校に進むんですか?」
縦長のメニューを見ながらカフェオレを選び、「うん」と彼の意見を肯定する。
真柴くんが店員さんを呼んで飲み物をオーダーする間、私は何を話そうかと頭の中で整理した。
「私ね。子供の頃からファンタジーな空想をするのが好きで。将来は小説家とか脚本家になるのが夢なの」
「……へぇ。なんか、あん子先輩らしいっスね」
彼は頬杖をついたまま穏やかに微笑するだけで、私の夢を馬鹿にしたりはしなかった。無論、彼がそんなことをするはずがないのは分かっていたが。ただただ面映かった。
「……でもよく分かったね」
猫と変身後の人間が別々にいて何がなんだか分からなくなる。
「せっかくだから珈琲でも飲んでいきません?」
真柴くんのスマートな誘い方に、無意識に「うん」と頷いていた。
「先輩の進路、何となく分かりましたよ」
ソファー席に座り、ウェイターさんにお水とおしぼりを運ばれてから真柴くんがズバリと言い当てた。
「創作系ですよね? 漫画家とか小説家とか……エンタメ系の専門学校に進むんですか?」
縦長のメニューを見ながらカフェオレを選び、「うん」と彼の意見を肯定する。
真柴くんが店員さんを呼んで飲み物をオーダーする間、私は何を話そうかと頭の中で整理した。
「私ね。子供の頃からファンタジーな空想をするのが好きで。将来は小説家とか脚本家になるのが夢なの」
「……へぇ。なんか、あん子先輩らしいっスね」
彼は頬杖をついたまま穏やかに微笑するだけで、私の夢を馬鹿にしたりはしなかった。無論、彼がそんなことをするはずがないのは分かっていたが。ただただ面映かった。
「……でもよく分かったね」