朝、目が覚めたら意地悪なアイツと一緒のベッドで寝ていた件について
新学期
春休みが終わり、今日から2年生。
クラス替えもあるし…春野と恋人としての学校生活が始まる。
これからどうなるんだろ…。
「琴音、新学期くらい一緒に学校行くぞ」
「絶対嫌!お兄ちゃん先に行ってよ」
普通のお兄ちゃんなら一緒に行ったかもしれない。
お兄ちゃんが玄関のドアを開けると家の前には女の子達でいっぱい…
「直也ぁ~おはよー」
「もぉ!ニューヨークから帰ってくる日教えてくれれば良いのに誰にも教えないなんて~」
「あぁ。でも、今こうして会えてるんだから膨れるなって…俺は君の笑顔がみたいな」
「そっかぁ、久しぶりに会ったのにこんな顔したら駄目だよね…直也ゴメンね」
ちなみにお兄ちゃんはニューヨークになんて行ってません。
女の子達が家に来るのが面倒で、わざわざご丁寧に終業式の会長挨拶で春休み中に学べる事はたくさんある。とか自分はニューヨークに行き、学べる事を学んで来るとか無駄な嘘を吐いて家から一歩も出なかった。
「直也は本当昔からよくモテるわねぇ」
「お母さん!呑気過ぎ!お兄ちゃんただの一般人なのにあれ異常だよ!」
「大丈夫よ。直也はしっかりしてるから色々考えてあの形になってるんだと思うわ。ほら、琴音も早く学校行きなさい…琴音にもお迎えきてるわよ」
「お迎え?」
玄関先を見ると春野がコソコソと様子を伺っているのが見えた。
こっちに気が付くと春野はペコッと頭を下げた。
「お母さん!春野が来てたことお兄ちゃんに絶対言わないでね!」
「はいはい、わかってるわよ」
「絶対だからね!?行ってきます!」
私はお母さんにそう言い残して家を飛び出した。