桜色の雨に打たれて
*
「だから、僕と、美優は一回会ってるんだよ」
『ごめん。もっと、早く気づきたかった。』
「いいよいいよ。大丈夫。」
『なんかごめんね。」
美優は申し訳なさそうにしていたけれど、僕はなんとも思わなかった。
今日は言いたいことを全部言わないといけないと思ったから、僕は美優にずっと言いたかったことを言う。
「あ、そうそう。ねぇ、美優。いきなりな話してもいい?」
『え、うん』
「――僕は美優がずっと好きだよ」
僕がずっと前から美優は特別で、優しくて、僕を助けてくれた人。
なんで、暴走族なんかに入っちゃったんだろう。
今も後悔している。
誘われたからだっかだろうか。それはあまり記憶にない。
でも、美優への告白は後悔なんてしていない。
『え、透真、、、』
『あのさ、私も透真が一番気になった人なんだ。昔、東京で会った子が透真だったなら、』
『―私も透真が好きだったよ。私なんかに相談いっぱいしてくれて、すごい嬉しかった。』
「僕もその時から」
『じゃあ、、、』
「だから」
僕は美優の言葉を遮った。
「僕は、雨を降らせる。」
『え、、、。ちょっと待ってよ、、、。私は、もういいよっ、、、!』
「美優に恩を返したい」
『待って、』
僕は通話を切った。美優から何度か電話がかかってきたけど、出なかった。
でも、美優のためなんだ。
だから、今日も僕は雨を降らせる。