桜色の雨に打たれて
ありがとうしか言えなくて。
*
透真が私の家まで送ってくれた。
家に入ろうとすると、透真に「なんかあったら怖いから、連絡先交換しよう」と言われて、「私は何もないと思うけどね」と笑って連絡先を交換した。
「透真、ありがとう。こんな時間まで、、、」
「全然大丈夫だよ。じゃあまた明日」
私は手を振って家の中に入った。
夕日はまもなく沈むだろう。
「ただいま」
「おかえり美優。遅かったね、何してたの」
「ちょっと図書館寄ってた」
「勉強してきたの?偉いじゃん」
何とかごまかせた。
私は鞄を置きに自分の部屋へと向かった。
「にゃー」
フローリングにつむが首をかしげて座っている。
固まっていた口角がふっと緩んだ。
「つむっ」
私はつむを抱きしめた。
「にゃーっ」
「あ、つむ、ごめんね」
冬じゃないのにつむの温かさがとても心地よかった。
*
部屋に入って、鞄を置いてすぐベッドにダイブした。
私が、ベッドで横になっていると、透真から電話がかかってきた。
「わっ、」
驚きのあまり、つい声を出してしまった。
しばらく硬直していたが、恐る恐るスマホを手にとって、通話ボタンを押した。