桜色の雨に打たれて
「えっと、もしもし」
緊張して、声が震えている。
『ごめん。こんな時間に』
「大丈夫だよ。ちょうど暇だった」
『そっか。良かった』
優しい声に安心感を覚える。
「さっきの人、捕まったかな、」
『あれだけ悪そうな顔してるから、捕まったんじゃない?』
「そ、そうだね」
緊張しすぎて、心臓がうるさい。
私は、ゆっくり深呼吸をして続ける。
「で、あの、そのなんかあったの?」
『いや、ちょっと話したいなって思って』
「えっ?」
いきなり言われてびっくりする。長電話になるのかなんて思った。
『時間なかったら全然いいからね!』
「いや、大丈夫!」
男子と電話するのは初めてで、さっきより緊張感が増す。
学校のことを話し始めて、盛り上がっていると、もうすでに1時間が経過していた。
*
『たくさん話したね。そろそろ終わろっか』
気づいたころには、2時間が過ぎていた。
「もう2時間!?早いね」
『ね!美優はもう寝る?』
「うーん、そうだねー」
私は大きく伸びをして、目をこすった。
『じゃあ、おやすみ。美優』
「おやすみなさい」
透真との電話が終わった。電話が終わった後、部屋がいつも以上に静かに感じた。
楽しくて、あっという間だった。
今の時刻は23時25分。
つむは猫じゃらしをくわえて、走り回っていた。
~つむぎ日記~
2時くらいにつむが鳴き続けていてうるさかったので、ご飯を入れに行った。
「はい、つむ。ご飯だよ」
私がご飯を入れると、ご飯の方ではなく、私の方へ来た。
「どうした?」
「る"んに"ゃん"」
「え?」
私が聞いたことのない声で鳴くと、床に転がって、まん丸の目でこっちを見てきた。
可愛い。
「何してほしいの~!可愛いね~」
「にゃっあ」
「ふふっ、どういうこと?」
寝ないといけないと思ってベッドに行ったが、結局、しばらく寝れなかった。