【短編】魔性の恋物語
「お迎えにあがりましたお姫様。どうか僕の国で結婚式を挙げましょう」
「それ以前にアナタは誰なんですかーっ!」
「僕はマショ国の王子、SNSでキミを見かけて追いかけてきたのさ」
「私はSNSなんて──って、まさか、あのときの写真かしら」
「お友だちがアップした写真で、僕の心はキミに夢中になったのさ」
「私は夢中にならないから、そのまま国にお帰りください」
つい勢いで載せてもいいよって言ったのが失敗よ。
魔性の力がこんなに強いとは思わなかったもの。
あれ? 待って、写真でもダメとか、私は履歴書すら書けなくなるじゃないのぉ。
これは就職するまでになんとかしないと……。
はっ、そうよ、はる君に養ってもらえばいいのよ。
だって私の心ははる君のものなんだからねっ。
告白すらしてないけど……。
「はぁ、はぁ、やっと教室についたよ。とりあえず顔を隠しながら──」
「やっと追いついたよ。いきなり走り出すんだもん、追いかけるのが大変だったんだよ?」
「走るに決まってるでしょっ! あのままじゃ遅刻──って、えっ、どうしてはる君がここに」
「僕のこと下の名前で呼んでくれるんだね」
うぅ、いきなりだからつい下の名前で呼んじゃったよぉ。
あまり話したことないのに、馴れ馴れしい人とか思われたりしたよね?
なんで『須賀君』って呼ばなかったのよぉ、私のばかぁぁぁぁぁ。
恥ずかしすぎて顔が真っ赤になったじゃない。
どうしよ……はる君の顔をまともに見られないよ。
ううん、ダメよ、弱気になったらダメなんだからねっ。きっとこれは神様がくれたチャンス。
だから、さっきの勢いで告白するしかないよ。うん、今日の私なら絶対にいける気がするもん。
「え、えっと、それは……。そ、そんなことより、私を追いかけてきたのはどうしてなのよっ。まさか、ストーカーだったりしないでしょうね?」
ちっがーーーーう。
言いたいことはそれじゃなーーーーい。
なんで? どうして思ってもないことが口から出てくるのよ。確かにどうでもいい人たちには普通に使ってたけどさ。
だからといって、はる君に言う言葉じゃないからぁぁぁぁぁ。
「舞星さんって機嫌が悪いのかな?」
「ち、違う、そんなことないよ。それよりも要件って何かな?」
「ほら、ハンカチ拾ったって言ったじゃない。それなのに、渡す前にいきなり走り出すんだもの。追いかけるの本当に大変だったんだからね」
「うぅ、あ、ありがと……」
「そういえば舞星さんって──」
何よ、はる君はいったい何を言うつもりなの。
待って、まさか本当に嫌われたりしてないよね?
二度と顔見せるなとか言われたら……私の心は闇堕ちしちゃうんだからっ。
落ち着きなさい、深呼吸で心を落ち着かせるのよ。
そうすればこのむねのたかなりも収まるはず──わけないじゃない。そんなすぐに収まるなら警察なんていらないわよっ。
と、とりあえず須賀君の話を聞かないとね。
まずはそれからよ……。
「私がどうしたっていうのよ。別に誰になんて思われてようと、私は気にしないんだからねっ」
「ふふふ、やっぱり舞星さんって、笑顔がステキだよね。最初に見かけたときからずっと思ってたんだ」
そんな不意打ちはずるいよ。
頭の中が真っ白になっちゃうじゃない。
もう、今の私はいったいどんな顔をしてるんだろ……。
「そんなこと言われたの初めてだから……」
「そっか、なんか得した気分だよ」
「きらら……私のことはきららって呼んでね。でないと、二度と口なんて聞かないんだからっ」
「わかったよ、きらら。あっ、そろそろ予鈴が鳴る頃だね。それじゃまたね」
「う、うん……」
『またね』か……。
そうよね、この学校にいるんだし、告白してくれるチャンスはあるんだからね。それに──今は『きらら』って呼んでくれたことだけで、私は大満足だよ。
告白する勇気なんてない、告白される気配もない。
だけど、私がはる君に抱く想いは決して変わらない。
いつの日か、自分の気持ちを知ってもらえれば……。
「それ以前にアナタは誰なんですかーっ!」
「僕はマショ国の王子、SNSでキミを見かけて追いかけてきたのさ」
「私はSNSなんて──って、まさか、あのときの写真かしら」
「お友だちがアップした写真で、僕の心はキミに夢中になったのさ」
「私は夢中にならないから、そのまま国にお帰りください」
つい勢いで載せてもいいよって言ったのが失敗よ。
魔性の力がこんなに強いとは思わなかったもの。
あれ? 待って、写真でもダメとか、私は履歴書すら書けなくなるじゃないのぉ。
これは就職するまでになんとかしないと……。
はっ、そうよ、はる君に養ってもらえばいいのよ。
だって私の心ははる君のものなんだからねっ。
告白すらしてないけど……。
「はぁ、はぁ、やっと教室についたよ。とりあえず顔を隠しながら──」
「やっと追いついたよ。いきなり走り出すんだもん、追いかけるのが大変だったんだよ?」
「走るに決まってるでしょっ! あのままじゃ遅刻──って、えっ、どうしてはる君がここに」
「僕のこと下の名前で呼んでくれるんだね」
うぅ、いきなりだからつい下の名前で呼んじゃったよぉ。
あまり話したことないのに、馴れ馴れしい人とか思われたりしたよね?
なんで『須賀君』って呼ばなかったのよぉ、私のばかぁぁぁぁぁ。
恥ずかしすぎて顔が真っ赤になったじゃない。
どうしよ……はる君の顔をまともに見られないよ。
ううん、ダメよ、弱気になったらダメなんだからねっ。きっとこれは神様がくれたチャンス。
だから、さっきの勢いで告白するしかないよ。うん、今日の私なら絶対にいける気がするもん。
「え、えっと、それは……。そ、そんなことより、私を追いかけてきたのはどうしてなのよっ。まさか、ストーカーだったりしないでしょうね?」
ちっがーーーーう。
言いたいことはそれじゃなーーーーい。
なんで? どうして思ってもないことが口から出てくるのよ。確かにどうでもいい人たちには普通に使ってたけどさ。
だからといって、はる君に言う言葉じゃないからぁぁぁぁぁ。
「舞星さんって機嫌が悪いのかな?」
「ち、違う、そんなことないよ。それよりも要件って何かな?」
「ほら、ハンカチ拾ったって言ったじゃない。それなのに、渡す前にいきなり走り出すんだもの。追いかけるの本当に大変だったんだからね」
「うぅ、あ、ありがと……」
「そういえば舞星さんって──」
何よ、はる君はいったい何を言うつもりなの。
待って、まさか本当に嫌われたりしてないよね?
二度と顔見せるなとか言われたら……私の心は闇堕ちしちゃうんだからっ。
落ち着きなさい、深呼吸で心を落ち着かせるのよ。
そうすればこのむねのたかなりも収まるはず──わけないじゃない。そんなすぐに収まるなら警察なんていらないわよっ。
と、とりあえず須賀君の話を聞かないとね。
まずはそれからよ……。
「私がどうしたっていうのよ。別に誰になんて思われてようと、私は気にしないんだからねっ」
「ふふふ、やっぱり舞星さんって、笑顔がステキだよね。最初に見かけたときからずっと思ってたんだ」
そんな不意打ちはずるいよ。
頭の中が真っ白になっちゃうじゃない。
もう、今の私はいったいどんな顔をしてるんだろ……。
「そんなこと言われたの初めてだから……」
「そっか、なんか得した気分だよ」
「きらら……私のことはきららって呼んでね。でないと、二度と口なんて聞かないんだからっ」
「わかったよ、きらら。あっ、そろそろ予鈴が鳴る頃だね。それじゃまたね」
「う、うん……」
『またね』か……。
そうよね、この学校にいるんだし、告白してくれるチャンスはあるんだからね。それに──今は『きらら』って呼んでくれたことだけで、私は大満足だよ。
告白する勇気なんてない、告白される気配もない。
だけど、私がはる君に抱く想いは決して変わらない。
いつの日か、自分の気持ちを知ってもらえれば……。