知ってしまった夫の秘密
悩める日々
***
「ちょっと相談があるんだけど……」
ちょうど夕食の片づけを終えた私は、夫である巡二を呼び止めて再びダイニングの椅子に座った。
「どうした?」
スッキリしない表情で椅子に半分腰かけた巡二に、私は唐突に自分のスマホ画面を見せる。
「その資格を取るために勉強したいんだけど、いいかな?」
「……コーヒーソムリエ?」
「私、コーヒーが好きだし、独学じゃなくてちゃんと勉強したいと思ってるの」
笑顔で話す私とは正反対に巡二は無表情で、小さく息を吐いて私にスマホをつき返した。
「資格を取ってどうするんだ? なんのために?」
「将来、カフェを開けたらいいかなって……」
「夢物語だな。コストや営業利益率のことをちゃんと考えたのか?」
巡二がこんな反応を見せるのは想定内だ。私はそれでも笑顔を崩さない。
「すぐに出店したいわけじゃないの。それに今の仕事にも少しは役に立つから」
私は結婚を機に会社を辞め、今は平日のランチタイムだけ、イタリアンレストランでホールスタッフのアルバイトをしている。
昔からコーヒーは好きだったけれど、店で提供しているおいしいエスプレッソを飲んでから本格的に興味を持ち始めた。
コーヒーは豆の種類や焙煎具合、淹れ方などで全然違ってくるのが面白い。私はその魅力にハマってしまった。
「ちょっと相談があるんだけど……」
ちょうど夕食の片づけを終えた私は、夫である巡二を呼び止めて再びダイニングの椅子に座った。
「どうした?」
スッキリしない表情で椅子に半分腰かけた巡二に、私は唐突に自分のスマホ画面を見せる。
「その資格を取るために勉強したいんだけど、いいかな?」
「……コーヒーソムリエ?」
「私、コーヒーが好きだし、独学じゃなくてちゃんと勉強したいと思ってるの」
笑顔で話す私とは正反対に巡二は無表情で、小さく息を吐いて私にスマホをつき返した。
「資格を取ってどうするんだ? なんのために?」
「将来、カフェを開けたらいいかなって……」
「夢物語だな。コストや営業利益率のことをちゃんと考えたのか?」
巡二がこんな反応を見せるのは想定内だ。私はそれでも笑顔を崩さない。
「すぐに出店したいわけじゃないの。それに今の仕事にも少しは役に立つから」
私は結婚を機に会社を辞め、今は平日のランチタイムだけ、イタリアンレストランでホールスタッフのアルバイトをしている。
昔からコーヒーは好きだったけれど、店で提供しているおいしいエスプレッソを飲んでから本格的に興味を持ち始めた。
コーヒーは豆の種類や焙煎具合、淹れ方などで全然違ってくるのが面白い。私はその魅力にハマってしまった。
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