知ってしまった夫の秘密

「悪い。図星だったか」

「いえ、喧嘩ではないんです。私、コーヒーソムリエの勉強がしたいんですけど、夫に反対されて……」
 

 なぜ佑さんに話してしまっているのだろう。
 私は首を横にフルフルと振ってなんでもないのだと笑ってみせた。


「夫婦っていろいろあるんですよ。大丈夫なので。……すみません」

「そう? 真琴さんは真面目だし、思い詰めてしまわないか心配だ」


 そうか、私は真面目なのか。
 うまくいかないことがあっても、もっと気楽に考えればいいのかな。それは自分を守る方法のひとつなのかもしれない。


「とことんまでいったら壊れるから、そうなる前に離婚すれば?」

「え?!」

「子どもはいないんだし、離婚できない理由があるわけじゃないだろ?」


 佑さんが近くの椅子に腰をかけ、腕組みをしながら真剣に考え込んだ。

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