知ってしまった夫の秘密
「ところで私の電話番号はどうやって知ったの?」

「そんなの簡単ですよ。彼がホテルでひと眠りしているときに、ベッドサイドに置いてるスマホを開いて調べました」


 怖い子だ。スマホはロックされているはずだが、それも解いて、こっそりと中を見るなんて。
 巡二は彼女の腹黒さにどこまで気づいているのだろうか。


「私のアドレスを教えるから、さっきの写真を全部メールで送って?」

「ベッドで彼と写ってるやつですか? 全部?」

「それと、もらったプレゼントの写真もあるわよね? あなたなら撮ってるはず。今すぐそれも送って」


 私がスマホを操作すると、彼女がフフッと口元を緩めて笑ったのが視界に入った。
 

「写真を送るのは面倒ですけど、これで奥さんが納得して離婚してくれるなら」

「離婚はするかしないかわからない。するとしても、あなたのためじゃなく自分のためよ。履き違えないで」


 この子はきっと心臓に毛が生えているのだ。度胸が据わりすぎている。私が付き返した言葉を聞いて堂々と不貞腐れるのだから。自分の立場を全然わかっていない。

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