知ってしまった夫の秘密
「カフェを開きたいって、変な夢じゃないでしょう？」

「巡二さんは真琴が自分のお店を持ってバリバリ働くのが嫌とか？」

「そんなの古いよ！」


　今やジェンダーレスの時代で、男女関係なくお年寄りも若者も、すべての人が活躍できる社会を目指しているはずなのに。
　万季の指摘どおりなのだとしたら、巡二の脳みそは未だ石器時代に等しい。


「真琴のとこ、いずれマンション買う予定だって言ってたよね。巡二さんの頭の中にはその計画もあるからじゃない？」


　万季の発言で、そういえば最近はマンション購入の話をしてこなくなったと気がついた。
　買う意欲をなくしたのだろうか。もう少し賃貸でと思っているのかもしれないが、夫が話してくれないので実際のところはわからない。


「万季がうらやましくて仕方ない。かわいい子どもがふたりもいて、家庭円満で」

「隣の芝生が青く見えてるだけだよ。今でも目が回りそうなのに、育休が終わったら仕事しながら家事と育児だよ？　毎日バタバタ！」


　大変だと言いつつ、おどけて笑う万季はいきいきとしていて幸せそう。
　そんな彼女を、私は心からうらやましく思った。仕事も家庭も充実しているのは本当に理想的だから。

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