知ってしまった夫の秘密
「たしかに資格を取るなら今だよね。子どもができてからじゃ時間作れないよ。まあでも近い将来、真琴が妊娠したら巡二さんも変わるかも。どうしても子ども中心の生活になるからさ」

「…………」


 実は、私たちは結婚してまもなくレスになった。
 巡二は営業職で、飲み会や残業で帰りが遅くなる日も多く、いつも疲れていて夜はすぐに寝てしまう。

 妊娠を望む私は子作りの協力をしてほしいと伝えてみてはいるが、いざとなると拒絶されるのだ。
 女として、これほど自信を失うことはない。

 当初から寝室は一緒だがベッドは別々だし、これではいつまで経っても妊娠など不可能だ。
 そのことについても私は辛いのだけれど、さすがに情けなさすぎて万季にも相談できないでいる。

 今の私を四字熟語で例えるなら、五里霧中。そして四面楚歌。

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