再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
「ははは。真綾は、相変わらずだな」

 目元が優しく緩む。大好きだった昔の彼の面影が重なり、胸が苦しいほどに高鳴ってしまう。
 気持ちがあの頃に飛んで行ってしまいそう。いや、もっと好きになりそうで怖い。

 目の前にいる央太は、六年前よりさらに大人の色気を手に入れて魅惑的だ。
 こんなに素敵な人が、一時は自分の彼氏だったなんて信じられないほど。
 ドキドキしすぎて頭が真っ白になりそうになる自分を叱咤する。

 ここで動揺を見せる訳にはいかない。央太にも、そしてノアにも。
 グッとお腹に力を入れて、央太を見上げる。

「先日は、本当にありがとうございました。おかげさまで、幹太は元気に保育園に行っています」
「それはよかった」
「ええ。それで、後日改めましてお礼を――」
「お礼と言うのなら、退社時間後の時間を俺にくれ。保育園に行くまでの時間で構わない。園までは俺が送っていくから」

 彼とは仕事関連で今後も会うことになる。フェイドアウトなどという手は使えそうもない。
 これは、腹をくくって央太との時間を作った方がいいだろう。
 そう思っていたが、いざそんな事態に陥ると動揺してしまう。
< 114 / 224 >

この作品をシェア

pagetop