再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
「俺は結婚なんてしていない。ずっと、真綾だけを想っていたから」
「え?」

 まさかの言葉が彼の口から飛び出し、ますます困惑してしまう。
 身体を固くして唖然と目を見開いていると、彼は恋焦がれるような顔をしていた。

 その表情が魅了的で、視線をそらすことができない。
 真綾の肩を掴む、彼の手に力がこもる。

「お前が俺の前から姿を消して愕然とした。謝ることさえも許されないことに、自分自身に絶望したが……。だけど、すべて俺が悪いのはわかっていたから探すことを諦めた」
「央太さ……ん?」
「いつか会えたとき、謝罪をする。それだけを思って生きてきた。だが、お前を傷つけたことは、許されることではない。だから、許さなくていい」

 ギュッとより真綾の肩を掴む手に力が入る。必死な形相の央太を見て、真綾に愛を告白してきたときを思い出した。

 あのときより、大人の色気が増した央太。でも、瞳の奥の熱さや情熱は変わっていなかった。そのことに嬉しさが込みあげてきてしまう。
 
「許さなくていいから、傍で真綾を見つめていたい。その権利が欲しい」
「な、何を言っているの……?」

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