再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 その事実を永江家の面々が知ったとき、どうなるのか。想像するだけで恐ろしい。

 自分の恋心を優先する前に、真綾にはしなくてはいけないことがある。
 幹太を守る。そして、愛する央太を守る。それは決定事項だ。その考えはブレない。

 それなのに、央太はより真綾の心を揺さぶってくる。

「もう一度、真綾に想いをぶつけたいと思っている。俺は、真綾にプロポーズがしたい」
「何を……言っている、の?」

 突然の告白に頭が真っ白になってしまう。
 肩を掴んでいた央太の手が、今度は真綾の両手を握りしめてきた。

 キュッと手を掴んでくる、大きな手。ぬくもり。その熱が、あまりに久しぶりで涙が零れ落ちてしまいそうになった。

 だが、央太のお願いを聞くわけにはいかないのだ。
 本当はこの手を取ってしまいたい。貴方が今もずっと好きだからと泣きついてしまいたくなる。
 
 ――でも、それはできないんだよ。央太さん。

 彼の幸せを願い、幹太の幸せを祈る。もちろん、その気持ちに嘘偽りはない。
 だけど、本当に怖く思っていることは、央太に家族を裏切らせることだ。

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