再愛婚～別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています～

　本当は黙っていたかった。だが、彼の手にかかれば、真綾など赤子の手を捻るようなものだろう。ごまかしたとしても、いずれバレる。
　それなら、とにかく正直に話してしまおうと思ったのだ。

　ただ、幹太の父親については絶対に口を割るつもりはない。でも……。
　きっと央太は気がついている。幹太の父親が、央太であるということを。そういう口ぶりだ。
　わかっているからこそ、こんな質問ができるのだ。

　再び彼からの距離を離そうと逃げたが、その距離を詰めるように彼は近づいてくる。
　じわりじわりと後ずさりを続けていたが、もう逃げることができない。

「あ……」

　壁に背中が当たる。諦めが悪く踵を返して逃げようとしたが、それよりも央太の行動が早かった。
　彼は壁に腕を押しつけるような体勢になり、真綾を閉じ込めてしまう。

　身動きが取れない上、唇と触れてしまうんじゃないかと思うほど彼は近づいてきた。
　ドクンと胸が一際高鳴っていると、央太はより顔を寄せてくる。

「それなら、誰にも遠慮する必要はないな」
「お、央太……さ、ん？」

　彼の瞳が意味深にギラリとした気がした。