再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 あの夜、彼が珍しく荒れていたのは、弁護士を辞めなくてはいけなくなったから。
 でも、それを回避できていた。それが嬉しくて仕方がない。

 央太は弁護士という仕事に誇りを持っていた。それを知っている真綾としては、彼が今も弁護士で居続けていたことが喜ばしくて仕方がない。

 どうして続けることができるようになったのか。一度、彼に聞いてみたい。
 だけど、彼とはあまり接触しない方がいいだろう。
 言いたいことは言った。もう、真綾からは彼に話しかけることはしない。
 近づけば近づくほど、彼への気持ちが零れ落ちてしまうはず。

 お互い違う人生を歩き出している。そのことに、いずれ央太も気がつくだろう。
 彼は立派な実家に見合うような、素敵な女性との未来がある。真綾は身を引くべきだ。

 彼との幸せを思い描きそうになるのを阻止するため、軽く頭を横に振った。
 好きだからこそ、彼からの求愛は突っぱねなくてはいけない。

 央太は大企業の御曹司だ。今後、彼が弁護士を辞めて継ぐのかどうなのか。そのあたりはわからないが、現状は変わらない。

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