再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 しかし、不思議なのは、実家からは何も言われないのかということだ。
 六年前、弁護士を辞めなくてはいけないと言っていたのは、実家に戻ってこいと言われたからだと思っていたのだが……。

 彼の妹である道子が、真綾に直接言って来たのだから間違いないはず。それなのになぜ……?

 謎は残るが、真綾はその真相を知ることはないだろう。
 永江家から嫌悪されている真綾では、央太を助けることはできない。

 今、真綾ができることはなんだろう。どちらの選択をしても、後悔しそうだ。
 小さく息を吐き出したあと、会議室から出た。

 * * * *

『申し訳ないんだけど、晶子を迎えにいってほしいの』

 ジョイフルピースでの仕事を終え、オフィスビルから出てきてすぐのことだ。
 妹の道子から、慌てた様子で電話がかかってきた。

 道子は結婚してすぐ、母の仕事を引き継いだ。
 NPO法人の理事をしているのだが、今日は講演会で他県に行っているという。

 保育園のお迎えの時間にどうやら間に合いそうにもないらしい。行けたとしても、ギリギリになりそうだという。
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